あなたが触れる度に


楠本さんとは、あの日以来会えずにいる。


楠本さんも気を使ってか、
連絡が来ない。


いきなり関係を断たれたようで
妙に胸がざわついた。


よく考えてみれば、連絡をまめにとっていた時のほうがおかしいのだけれど…



毎日が上の空。
モヤモヤした霧が、
頭上にも足元にもかかり、
すっきりしない。



そんな状況を作り出したのは、
紛れもなく自分だけれど。




「最近、暗い顔ばっか。」


窓を眺めていた私の頬をツンと指で触り、美紀が呟いた。



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