あなたが触れる度に
「私に、選ぶ権利なんか無いよ。全部、私が悪い。最低だよ…」
あの日の雅樹の悲しそうな表情、怒りに任せた指先、
息の詰まるような怒鳴り声…
思い出しては泣きそうになる。
私は頭を机に伏せた。
そして、静かに涙を落とした。
「菜々…っ」
美紀はそんな私の背中を擦った。
こんな時でさえ浮かぶのは、
楠本さんの柔らかな笑顔だった。
本当に私は最低だ。
会いたい。だなんて、
会いたい。だなんて……
しばらくすると、教室に少しのどよめきが聞こえた。