あなたが触れる度に
楠本さんのサロンがオープンした日。
「…ほんとに、いいの?」
「はい。お願いします。」
私は楠本さんのカットモデルを引き受けた。
楠本さんの仕事に対する熱心さと、何よりも人柄に惹かれたから。
雅樹が楠本さんを殴って以来、
雅樹と私の関係は目に見えて悪くなり
もう会話をすることも、
目を合わせることさえなくなっていた。
そして、雅樹は美紀と付き合い出したと聞いた。
本当は少し気付いていた、
美紀がずっと前から雅樹のことを好きだったと言うこと。
そんなこんなで、私の生活は今までとガラリと変わり始めた。
バイトも辞めた。
何よりも、自分自身が変わりたいと思い始めていた。