天使になれなかった。
act.9
凛羽の薄茶色のサラサラな髪があたしの肌をくすぐる。
強く真っ直ぐな瞳に吸い込まれてしまいそう。
あたしの白い手は彼の輪郭を確かめて
何度も、何度もキスをした。
舌が絡まりあって、お互い唾液を掬うように舐めあって、そこから熱が溢れ出す。
そして全身が満たされていく。
罪も傷も愛も全部飲み込むように。
いっそ飲み込まれてしまいたい。