天使になれなかった。
行為が終われば、すぐ制服に袖をとおした。
親父はそれすらも嬉しそうに眺めている。
スカートを履くときの道筋を目でたどって、シャツのボタンをとめてブラが見えなくなるまでを、わずかに伸びた顎髭をさすりながら舐め回すようにみていた。
あたしは気にせずに涼しい顔をして、まるで親父なんかいないかのように着替えを進めていく。
あたしが乱れた黒髪を軽く整えたら、親父が重い腰をベットから持ち上げて傍にきた。
「はい」
差し出された四万円を黙って受け取る。
「それとこれはおまけ。君、すごくよかったよ」
囁かれた言葉を右から左へサラッと流して遠慮することなくもう一万円受け取り、ホテルを後にした。