天使になれなかった。
親父からの“アルバイト代”は自分の生活費としてやりくりしている。
始めたのは小学六年生の終わり、雪が降っていたのを覚えている。
あの日、重荷のまま餓死してしまうかと思った。
白い雪に埋もれながら薄れていく意識の中で、自分の生活費だけでも稼げば少しは許してくれるかもしれないと思った。
自分の身は自分で守らなければ、あたしは生きていけないんだと小さな体で悟っていた。
そしてロリコン趣味の親父に処女を売りさばいて金に変えた。
小学校六年の冬。
セックスという名前もわからないまま処女喪失。
今思えば、あの日死んでいたら降り積もる雪の結晶にでもなれたかもしれないのに。
───……無理か。