天使になれなかった。


ハゲ親父と女がホテルの入り口にたった瞬間、インスタントカメラのフラッシュが光った。

そんなことに気付かずに今まさに目先の快楽へ溺れていく親父と女。


中へ消えていったとたんに蓮見がクックッと笑いだした。


その笑顔の愛らしさをみると蓮見にこんなところは不似合いな気がした。


「ねぇ、いったい何なの?」

「これみて」


さっき撮った写真をあたしの目の前でヒラヒラさせた。


その写真はホテルの外観と顔がくっきりとうつっていて、どう言い逃れしようともホテルへ入った事実を突き刺すように証明している。


「どうするつもり?」

「──おもしろいこと」

蓮見はまた今いる場所に不似合いな笑顔を浮かべた。

その笑顔が少し毒々しく見えたのはあたしの思い過ごしだろうか──…?


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