天使になれなかった。
蓮見のその言葉に今までずっと絡まっていた脳のプラグがカチッと差し込めた。
そして初めて理解した。
あたしは世界を拒絶している……
第三者のことのように自分自身の実体に気付く。
まるで一日中悩んでいた数学の問題が溶けたときみたいにスカッとした気分。
頭の中の霧が一気に消えていく。
だけど霧が消えると同時に今まで見えてなかった寒気がするほどに恐ろしい感情が姿を現した気がした。
「バカな人間が作る今の世界をブッ壊すんだ」
その言葉を聞いたとたんあたしのなかに眠っていた感情が目を覚ましてしまった。
氷柱のように鋭い牙が脳に浮かぶ。
誰かを喰いちぎるのをずっと待っていたかのように。