天使になれなかった。

「お母さん、あたし今日遅くなるから!」

「なに?!おまえ最近遊びすぎじゃないか?!まっすぐ家に帰ってきなさい!!」

「お父さんには関係ないじゃーん!!」

「近頃物騒なんだから気をつけなさいよ」


同じ空間で繰り広げられる会話。


みんな

口もきかない。
目もあわさない。


気づいていないふり。


透明人間という言葉さえもらえない。


初めからいない存在。


「できたわよー」

義理母がキッチンから持ってきた手の込んだ朝ご飯はあたしの横と、斜めに置かれた。



義理父と華恋は言い争いをしながらそれを口にする。



あたしは黙って自分の前の何もないテーブルをみつめた。



テレビの音と、談笑が溶けあう。


家族三人の朝の始まり。


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