天使になれなかった。
あたしは四百万はいった茶封筒を握りしめて、柵の前で立ち上がった。
「凛羽、おもしろいもの見せてあげる!」
「え?」
凛羽は夕日に照らされたあたしを眩しそうに目を細めてみつめた。
あたしが茶封筒から万札を取り出して、躊躇することなく盛大に空へ投げたのは瞬間だったと思う。
当然、金は天へ昇ることなく地上へ墜ちていった。
凛羽はその様子を目を大きくしてポカーンと傍観した。
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