天使になれなかった。
すぐに『天から降ってきた恵みの金だ』と人間が群がった。

騒ぎ立てて、地面に這いつくばって誰よりも多く金をとろうとする。


あたりは騒然となった。
喚起に満ちた叫び声。
乱闘もおこった。

『神様からの恵みだ!』

『情けない世の中に神様が同情してくださったんだ!』

『拾え拾えー!』



あたしたちはそんな様子を見下ろして、笑い転げた。

蟻のように次々と群がる、群がる。


お腹を抱えて、笑った。

久しぶりに声に出して笑った。


凛羽とあたしは笑い転げながら次々と茶封筒から金をとりだして放り投げた。


金は抵抗なくヒラヒラと風に舞いながら墜ちていく。




両手からこぼれるのは手に入れた現実。

膝を抱えながら夢見てた情景。




おかしくて、たまらなかった。
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