天使になれなかった。
普段はあまり使われない和室。
義理母は襖をゆっくり開けた。
畳の匂いをかぐと思い出す。
初めて義理母に呼び出されたときのこと──…
フラッシュバック。
「ほら、はいりなさい」
思い出す、蘇る。
それは、
殺されかけた記憶。
「………いや…」
「何言ってるの?!?入りなさい!!!」
「いやぁああぁ!!!」
髪をふり乱し抵抗するあたしの腕を義理母の爪が食い込んで血がうっすら滲む。
「入りなさいっていってるでしょ?!?!」
鬼だ。
鬼だ。
あたしの抵抗はむなしく震える身体は和室にひきずりこまれた。