運命なんて信じない。
サリは一呼吸おいてから、勇気を出して聞いてみました。
「貴方……名前なんて言うの?」
少年は遠くを眺めながら聞き返します。
「ん――?俺?」
俺以外に誰が居るというのでしょうか。
「俺ぁウェンズ。よろしくな。アンタは?」
そう言うと、ウェンズは振り返りました。
「あたしはサリ。さっきは……ありがとう」
サリには1つ気になる事がありました。
それは、何故彼が自分を助けてくれたのか、です。
もしかしたら見返りを求められるんじゃないのか。
サリは、だんだん不安になってきました。
――見返りって何を?
――服?体?もしかして……命!?
彼女の脳内だけで、勝手に話が進んでゆきます。
「…………」
「ん、どした――?」
青くなって急に黙ってしまったサリを心配して、ウェンズが声をかけます。
サリが、口を開きました。
「貴方の目的は何?」