運命なんて信じない。
サリの目的
あのあと、ウェンズは、一度もスピードを緩める事無く走り続けました。
そして、今、彼らがいるのは、ある小さな村の宿屋です。
ウェンズが、こっそり賊の武器を幾つか盗んできたので、それと交換で小さな部屋を借りることができました。
余り広くない部屋。
少しくすんだ白い壁に、木の床、木製の四角いテーブルに椅子。
綺麗とは言えないシーツが掛かったベッドが1つ。
床は歩く度にギシギシ鳴って、年季が入っているのが分かります。
(ちゃんとしたベッドで1人で寝れるなんて……何年ぶりかな?)
サリはベッドに座り、考えました。
ふと、頭に死ぬ直前の父親の言葉が蘇ります。
『サリ、お前が17歳になる年……死神が、再びこの世に降臨するそうだ。本当は……私が奴を殺してやりたいんだが……私はもう、永くない。
実の娘なんかにこんな事頼むのは間違ってるって分かってる。でもお願いだ、サリ。アイツを…死神を、止めてくれ!!』
サリは、今まで服の中に隠していた薄っぺらい本と紙切れを引っ張り出しました。