運命なんて信じない。
しかし、男は酔っ払っているので、それに気付きません。
サリを放して、ウェンズの襟に掴み掛かります。
「んだと、ガキがぁ!!!! 文句あんのか、もっぺん言ってみろやぁ!!!!」
ウェンズは口角を下げ、目付きを鋭くすると
「ギャーギャーるせーんだよ、木偶の坊」
と低い声で言い放ちました。
その眼力に一瞬怯んだタンクトップでしたが、慌ててそれを隠すように怒鳴ります。
「あぁ!!!? ブチ殺すぞ貧弱!!!!」
そして右手を大きく振りかぶりました。
ウェンズはすぐさま襟を掴まれている手を払い除けると、素早く屈んで男が放った拳を避けます。
ブン、と拳が空を切る音が聞こえました。
まさかこんな少年に攻撃をかわされるとは思っていなかった男は、酒の力も手伝って前のめりにふらつきます。
ウェンズは、そんな男の弁慶の泣き所(脛)にローキックを放ちました。
ゴンッ
「………!!!!」