運命なんて信じない。
「なぁ」
サリは、スープの皿を掻き回しながら聞きました。
「何?」
ウェンズは、ちぎったパンをスープに浸けて、口に放り込んでから続けます。
「アンタさ、俺にさっきキレた時」
「あ、あの、さっきはゴメ……」
サリは少し俯いて謝りかけましたが、ウェンズは急いで手をブンブン振りました。
「違うって!! 別に蒸し返したりしねぇから!!!」
その様子がちょっと可愛くて、サリは
(やっぱり時々別人になるよね)
と思いました。
「で、本題は?」
「いや、アンタがずらしたんだよ、話題――」
彼は何処か不満そうです。
「んじゃ、続けっぞ。さっきアンタ『まだ自由じゃない』っつってたよな?アレどーゆー事?」
サリは、ドキリとしました。
――だって、これは誰も巻き込んではいけないから―――……
彼だからこそ、巻き込みたく無い。
大事な友達だからこそ。