運命なんて信じない。
もうウェンズは不満そうな唇を尖らせた顔から心配そうな顔になっています。
「俺、アンタに約束したよな、自由をやるって。アンタまだ自由じゃないんじゃねぇの?俺に嘘吐けって?」
――ウェンズは、優しい。
――さっき闘ってた男の人にだって「寒くねぇのか」って心配してたもん。
――そんな優しい彼を、巻き込みたく無い………
「……死神の事を、調べてるの」
敢えて、本当の“死神を殺す”という目的は言いません。
――彼はきっと、心配するから。でも、それだけじゃなくて……
――“死神を殺す”なんて言ったら絶対引かれるから……あたしは、貴方に嫌われたくないの。
サリが彼を見ると、彼は目を見開いて、驚いているようでした。
「?どうしたの?」
サリは、不安に思いました。
「え、あたし、何か変な事言った?」
(どうしよう……嫌われた、かな……?)
ウェンズは首を大きく横に振り「や、別に」と言ってから、
「そんなら、俺手伝えるかもしんね―よ――?」
とニッと笑いながら言いました。
「ホントッ!?」
サリは思わず目を輝かせます。
――これで、世界崩壊までに死神を見つける事ができるかも……
彼女の胸に、一筋の希望の光が差しました。