運命なんて信じない。
ガラガラガラガラ……
3〜4畳くらいの、決して広くはない檻の中に6人の男女が詰め込まれ、馬達に引かれています。
年齢も、3歳の子供から、恐らく70は超えているであろうヨボヨボの老人まで様々です。
舗装されていない山道を進む馬車の揺れは思いの外激しく、彼らのお尻は悲鳴を上げているに違いありません。
雨がしとしと降っているのに濡れないのは、森の木が道に覆い被さるように生えているからでしょうか。
「…あたし、何やってんだろ……」
檻の中で、16歳程の1人の少女が呟きました。
大袈裟な手錠をかけられ、足を鉄球に繋がれたこの少女の名前は、サリといいます。
少し肌寒く感じる気温の中でも、彼女らは、ボロボロの布切れみたいな服1枚しか着せて貰っていません。
大きく開いた背中には、翼をモチーフにしたような痛々しい烙印の跡がありました。