運命なんて信じない。
「死神は、好きで人を殺した事なんて殆ど無い。彼らの珍しい体や血を求める奴らが、死神を求めるから彼らの周りが血に染まってくだけだ」
サリには、ウェンズが自分だけじゃなく、他の誰かに話しているように感じました。
「詳しいんだね」
「ん?あぁ、親父が詳しかったんだよ――」
サリの半分問い掛けみたいなのにも、ヘラッと笑って曖昧にしか答えません。酒場の客に質問攻めにされた時と同じ対応です。
「それと、もう1つ……知ってるか?
死神の一族で、死神の血が濃く出た奴が二十歳まで生きた事は、無いんだって」
そう目を細めて話すウェンズは、何処か淋しそうで。
サリは、そんな彼が今にも消えてしまいそうに見えました。
サリが、どう反応すれば良いのか迷っていると、この微妙な空気が嫌だったのか、彼が先に口を開きます。
「ところで、アンタなんでそんなん調べてんの――?」
サリは「しまった」と思いました。
この状況でこの質問を流したら、絶対不審に思われます。
何より、サリにはウェンズのように問い掛けを巧く受け流す事なんてできません。
(でも、誰かを殺す、なんて言ったら……
ううん、ウェンズはきっとそんな人じゃないよね……ってコレは勝手な決め付けか。そんな人、なんて言う権利、あたしには無いし)
サリは意を決して話しました。
「今から4ヶ月後までに、死神を殺さなきゃいけないの」
彼女の目には、強い意志が宿っています。
故郷の仲間を救う為に。
そして、新しく友達になったウェンズがいる世界を護りたいから。