運命なんて信じない。
サリの応えを聞いたウェンズの動きが一瞬止まりました。
心なしか顔も少し強張ったように見えます。
けれど、そんな表情な仕草はすぐ消えて無くなり、彼は微笑みながら聞きました。
「何で?」
サリはまた回答に詰まります。
――コレを言ったら、彼の不安を煽るかもしれない、けど……!!!
「この本見て」
サリは、ポケットから薄っぺらい本を出しながら言いました。
サリの顔は、言ってしまったらこの関係が崩れるかもしれないという不安と、絶対に死神を倒す、という決意の入り交じった複雑な顔をしています。
「コレは、あたしの家に代々伝わる予言書なの。コレに4ヶ月後、死神が世界を崩壊させるって書いてあるんだ。あたしも普通はこんなの信じないんだけど……
でもコレ2000年くらい前に書かれてからの事が全部載ってるんだ。すごく正確に。年、日付、関係者、みーんな」
ここまで一致すると、信じない訳にいかないし、と彼女は続けました。
彼は、パラパラとページを捲っていましたが、やがて一番最後のページで手を止めると
「……ちょっと外の空気吸ってくる――」
本をパサッとテーブルに投げ置き、ヘラリと笑って、椅子を鳴らし立ち上がります。
サリは、彼の態度に違和感を覚え―――気付いたら彼の左腕を掴んでいました。
今止めないと、彼が消えて無くなってしまうような気がしたからです。
それでも彼は止まろうとはせず、無理矢理外に出ようとします。
サリの手がズルッと滑り、彼の左手首のシルバーブレスレットに引っ掛かりました。
パチンと音を立てて、ブレスレットの金具が飛び―――……