運命なんて信じない。
サリには、彼の言っている事の意味がよく分かりませんでした。
チャンスとは……サリが生きるチャンスなのか。
はたまた、ウェンズを殺すチャンスなのか。
状況に追い付いていけないサリを尻目に、ウェンズは右足を曲げるように持ち上げ、ブーツから30センチ程のナイフをスルリと取り出します。
ウェンズはサリの手を持って、それを強引に握らせました。
「え、これ……」
彼女は混乱しているようでした。
ナイフとウェンズを交互に見ています。
ウェンズは、偽物の笑顔のまま続けました。
「アンタ、ソレで俺を刺してみな」
どうやら、後者のようです。