運命なんて信じない。
「あたしは……何としてでも、世界の崩壊を止めなくちゃいけないのに………かつての王家の子孫として……」
サリは、昔このあたりに栄えた“アリアス国”という国の一族の末裔でした。
しかし、色々な理由で奴隷になってしまい、(それは追々語るとして)今に至ります。
彼女はイライラしたように、絹糸のような段の入った長い金髪を弄りました。
眉間には深くシワが刻まれ、薄―い蒼の瞳は、今までに知った数々の絶望によって「死んでいる目」になっています。
ぼーっとしてるうちに、いつの間にか森を抜けていました。
ここが何処なのか、これから何処へ行くのかさえ分かりません。
そのまま、近くの集落に入りました。
賊を恐れた人々は、みんな家に入ってしまい、誰もサリ達を助けようとはしてくれません。
寂れた村には、家を建てる煉瓦さえ無く、彼らの家は木材で出来ています。
その木の家さえも、長年修理する事ができなかったのか、所々傷んで腐っていました。
「もうお仕舞いだね……。あたしは、きっとずっと奴隷として暮らすんだよ。その内、予言通り……世界が崩壊して、あたし達みんな死ぬんだよ………」
そんな彼女の目に、何かが映りました。