運命なんて信じない。


「――――、何、を……!!」


サリはショックの余りまともに喋れません。ただ愕然とした表情でウェンズの顔を見ているだけです。


彼は、サリの表情を見ると声を出して笑いました。


「ははっ、これくらい深く傷つけねぇと人間、なっかなか死なねーよ――?まぁこんな傷一ヶ所じゃ、俺は殺せねーけどな――。
ククッ、じゃあな。もうアンタに用は無ぇ」


ウェンズはサリが喋れないのをいい事に、言いたい事だけ言ってくるりと回れ右をします。
彼はとにかくこの場から離れたくて仕方がありませんでした。


腹の傷なんかより、心臓のキリキリとした痛みの方が数倍辛かったから。



行く宛などありません。彼はある目的を果たす為に……本当の自由を手に入れる為に、旅をしながら手掛かりを探しているのです。


(どーせこんな小さな村には、何の情報も無いだろ。ま、いいや。次はどの街へ行ったほうがいいのかな………)



歩きだした時、ウェンズは背中に軽い衝撃を感じました。


「―――!!?」



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