運命なんて信じない。
トラウマ
――あれ?ここどこだっけ?
少年は、気付くと見覚えのある村にいました。
舗装されてない土の道、所々傷んで腐りかけている木の家々。
近くには、木の生い茂った山があります。
自分はそんな小さな村のある民家の屋根に、手を頭の後ろで組んで、寝そべっていました。
しとしと降る雨から逃れる為に、黒いローブを着、首に紅いマフラーを巻いて。
ギャハハハハという卑しそうな笑い声と共に、山へ続く道から賊の集団が来ます。少年は思わず眉根を寄せて起き上がりました。どうやら賊は奴隷を運んでいる最中のようです。
(……あぁ、アイツらも可哀想だよなぁ。行きたくない所連れて行かれて、したくない仕事させられて。まぁ、俺には関係無いけど―――)
そこまで思ってから少年は、長い金髪の少女と目が合いました。
“死んだ目”
彼女は、そんな目をしていました。
その目が、過去の自分と現在の彼女をリンクさせます。
少年は心臓辺りに、キリキリとした痛みを感じました。
その痛みに耐え切れず、少年は口を開きます。
“アンタに自由をあげようか?”
こう言ってやるつもりでした。
ところが、いきなり少女がニッと笑ったので、少年はそれを止めます。
「?」
訝しげに顔をしかめる少年に向かって、彼女は言いました。
「アンタに自由をあげようか?」
「……えっ」