運命なんて信じない。


少年の脳ミソが悲鳴を上げます。
・・
ソレは記憶の片隅に追いやった筈の、最も忌まわしい過去。




そして、全ての始まり。





少年が頭から手を下ろし、肩で息をしながらアレックスを睨むと、彼はニヤッと笑って……突然パッと消えました。



「ッ!!?」



少年が急いで振り返ろうとすると、右肩辺りに焼けるような感覚が走ります。


「ぐ…あぁ……ッ」


必死の思いで右後ろを確認すると、アレックスが少年の右肩から腰にかけて深々と包丁で切り裂いているのが見えました。


少年は膝に力をかける事が出来なくなり、その場に崩れ落ちてゆきます。


薄目を開け、悲しそうに眉間にシワを寄せながら倒れゆく彼に、アレックスは狂ったように笑いながら言いました。


「死神として生まれた時点で、お前に“自由”なんて来るはず無かったんだよぉ!!!!

お前には独りで生きて、誰にも看取られる事無くひっそりと死んでくのがお似合いなんだよぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!

あ―――――――っはっはっはっはっはっ!!!」



狂気に満ちた、あの笑顔で。




少年の目に、枯れたはずの涙がうっすらと溜まりました。






< 47 / 71 >

この作品をシェア

pagetop