運命なんて信じない。


青年が、落ち着いた様子で話し始めました。


「ちょっと待って下さい。
この人の傷は確かに深いけれど、死神の再生能力は人間とは比べ物にならないくらい高いんです。こんな傷じゃ死にませんよ。

それに、何で医者が怪我人を放っておかなければならないんですか?」


レンズの向こうの瞳が月の光を反射してキラリと光ります。

若干格好をつけようとしている模様です。


サリの耳は、彼が言った2文字に一瞬動きがピタッと止まりました。


「え、医者…………?」


青年は頷いて答えました。


「はい、この村の診療所の」



サリはそれを聞いて、更におろおろします。


(あ、あたあたあたあたしッ!!!
ウェンズを助けてくれる(かもしれない)お医者さんになんて事―――――!!!!)


サリには物事を良い方向に考えるオプションは付いていないようです。



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