運命なんて信じない。
「え……、あたし、喋りますけど?普通に」
サリは思わず眉をひそめます。
少女は笑って続けました。
「だって、一晩中ずっと一言も喋らず外で待ってるんだもん。
まるで人形みたいだったわよ?あなた―――えっと、名前?」
「サリ」
サリは短く答えます。
「あぁ、サリ、あなた可愛いから余計に」
少女は悪戯っぽい笑みを浮かべました。
それがウェンズの笑顔と重なります。
「―――ッ」
世界が滲んで歪みました。
少女はサリの背中をさすり、静かな声で訊ねます。
「……あの運ばれてきたカッコいい男の子、サリの恋人?」
サリは力なく首を横に振りました。