運命なんて信じない。
「!!!」
彼は、地上3メートルあたりでくるっと一回転し、膝をクッションにして綺麗に馬の前に着地します。
それに驚いた先頭の馬2頭が、背を仰け反らせたので、馬に乗っていた賊達が馬から落ちてしまいました。
「誰だ、テメェ!!!」
落馬した男―――頭に薄汚い手拭いを巻いていて、頬に縫った跡がある「いかにも賊」みたいな男が立ち上がり、白髪の人物に向かって怒鳴ります。
しかし、
「えーっと、檻引っ張ってるのが4人、でも2人落馬して――」
彼は、どうやら賊を無視しようと決めたようです。
それが癇に触ったのか、額に青筋を浮かべながら賊は言いました。
「おい小僧、馬鹿にしてんじゃねぇぞ。さっさと退かねえとブッ殺すぜ!!!?」
「檻を守る警護役が……いち、にー…………7人で―――」
やはり、そんな安っぽい脅しは彼には通用しません。
「おいテメェ!!!マジ調子乗ってんじゃね―――よ!!!!おいお前ら、いくぜ!!!コイツを殺す!!!!!」
賊も今度は本気でキレたようで、腰の長剣をスラリと抜くと、雄叫びを上げながら彼に向かって走って行きました。
他の賊も、ある者は馬から降りて、また別の者は馬にまたがったまま続きます。
「危ないッッ!!!」
サリは思わず、檻に手を掛け叫びます。
けれども、
「11人か。楽勝――」
サリには、彼がそう言って笑ったように見えました。