運命なんて信じない。


赤い髪の少女が、扉を蹴破りそうな勢いで開けて入ってきました。


「お兄様って呼びなさいっていつも言ってるじゃないですか、ロゼ。
はしたない。お兄ちゃんは君をそんな風に育てた覚えは……」


ジンが、黙っていたら普通にカッコいい顔をしかめてブツブツ文句を言い始めました。


けれども少女はソレを完全無視し、ウェンズにコツコツと靴音を響かせながら近付いていきます。


「フフッ、なかなかいい獲物ね」


少女は目を爛々と輝かせ、全身から黒いオーラ放っていました。


ウェンズは思わず、顔を引きつらせ半歩下がります。


(獲物って何だ!!!
しかもお兄ちゃん………って…………)


「……まさか………」


呟くウェンズの額に、冷や汗が滴れました。


「大いなる太古のロマン解明の為……捕獲よ!!!ジン!!!」


「コイツ、ジンの妹かッ!!!!つーかコイツも歴史オタクか――――――!!!!」




好みは、遺伝するようです。



診療所中に、ウェンズの悲痛な叫び声が響きました。


「ロゼ……人の事言えないじゃん……」


後から来たサリの独り言に、3人は気付いていないようでした。



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