運命なんて信じない。
5分後。
まさか、傷を手当てしてくれた人(例え下心が丸見えでも)をふっ飛ばして全身を複雑骨折させ、逃げる訳にもいかず……ウェンズはあっけなく手首と足首を縛られ、拘束されました。
「貴方にいくつか質問があるの」
「何だよ」
唇を尖らせ、究極の仏頂面のウェンズと……満面の笑みそのものの表情をしているロゼ。
まるで取り調べ中の容疑者と刑事のようです。
ロゼはにっこり(黒いオーラは出したまま)微笑んでから、ウェンズに言いました。
「あのブレスレットの事と………何で貴方みたいな死神がこんな村にいるか、よ」
妙に間が空いたのは、ロゼが聞くのを躊躇したからでしょうか。
周りの空気がピリッと張り詰めます。
ロゼが再び口を開きました。
「私たち兄妹は、今まで色々な歴史書を読み漁って来たわ。でも、どこにも“ブレスレット”なんて単語、出てこなかった。
………アレは何?」
ウェンズはもう仏頂面をしてはいません。
変わりに、いつも通りの人懐っこい笑みを浮かべています。
「奪った……てゆーか、貰った、だな―――」