運命なんて信じない。
ロゼは片眉をピクリと動かし、更に問い掛けます。
「……それは、どういう事?」
「さぁ?」
ウェンズはヘラヘラしていますが、纏う雰囲気はひどく冷たく、これ以上はどう頑張っても口を割ることができないのが見て取れました。
まるで、誰かが自分のテリトリーに入って来る事を頑なに拒むように………
ロゼはつり目がちの目を更に吊り上げて暫くウェンズを睨み付けていましたが、突然回れ右をしたかと思うと、来た時より大きな足音を立てながら大股で扉へ向かいます。
バンッッ!!!
そして、ドアに自分の感情を隠す事無く叩きつけ、部屋を出て行ってしまいました。
「ロ、ロゼッ!! どうしたの!?」
サリは反射的に彼女を追いかけようと、続いて部屋を出ます。
彼女の早歩きは思ったより速く、サリは小走りで彼女に追い付きました。
サリがロゼの顔を覗き込むように見た途端、彼女が今までへの字に曲げていた口をひらきます。
「サリ……アイツのブレスレット、探すわよ」
その言葉には、有無を言わせない何かがありました。
彼女の言動に不安を覚えたサリの心とは反対に、窓から見える空は吸い込まれてしまいそうな程晴れ渡っていました。