運命なんて信じない。


自分が死神だと分かっていても、遠慮無しに接してくれる人。

死神の自分を前にしても、自分を人間として心配してくれた人。

……そして、怒鳴っても冷たくしても、一緒にいてくれる人。


ほんの少しの間だったけれど、笑わないでいられた時間、素の自分でいられた時間は……彼にとって何物にも替えがたい大切なモノになったでしょう。


ウェンズは目を細めます。


―――あんなに誰かに怒鳴ったのも、叫んだのも……ってか感情を出した事自体かなり久し振りだな………


―――でも、楽だった。


―――もっと一緒にいたいと思った。






―――だからこそ、俺はアイツらと居ちゃいけない。



―――この血を、棄てるまで。





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