運命なんて信じない。
ウェンズは、さっきまで飴が入っていた袋を拾い上げ、尻ポケットに乱暴に突っ込みます。
そのまま足下の甘いカタマリの1つに足を置いて、大きな音が立たないようにゆっくり、力を込めました。
ピキパキ……パキ……パキン
飴はかけられる力が強くなる度に、その体に白い筋を刻み込み……小さな音と共に砕け散ります。
ウェンズは飴の欠片を哀しそうに一瞥すると、窓の桟に手をかけ、ひらりと外に出ました。
「……俺も、まだまだ甘いな」
――会ったばっかの奴らに、ホントの感情剥き出しにするなんて。
「今更、人の温かみでも恋しくなったか?」
ウェンズはモノクロの空を見上げて目を細めます。
しかし、すぐ目を逸らすとブレスレットを回収するために、昨日の酒場へ急ぎました。