運命なんて信じない。


彼は、スルリスルリと賊の間を縫うように移動します。


そして、彼が通った後には………


「ぐぁあッ!!!」

「うわぁっ!!!」


血に染まった、紅い道が出来ました。


(あ、れ……?)


サリは不思議に思います。

格闘戦だと容赦なく急所に攻撃していた彼が、剣を持った途端、急所を全て外すようになったのです。


まるで舞うように、賊達を切り伏せてゆきます。


舞い上がる血が彼岸花に見えたのを、不謹慎にもサリは綺麗だと思ってしまいました。


それほどに見事な剣捌き。
彼女が「コイツは絶対ただ者じゃない」と確信する瞬間でした。


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