涙。
あの日。
あの日―、

目覚ましの音で朝早く布団から転がるように起きて、カレンダーの赤くいびつな丸い印を確認した。

今日は父親に初めて会える日。今まで一度も会ったことがなかった。
ただ写真がこの家に転がっている。

この家で唯一その中に存在している父親の顔を見た。

寝室ではお母さんが布団にくるまってまだ寝ている。

「起きて。」

布団の中のお母さんはもぞもぞして、起きているよってアピールしてくる。

でも、なかなか布団から出てこないから私は布団を勢いよく奪った。

そしたら、お母さんは猫の様に丸くなる。

「起きた?」

「はい…起きました。」

「よかった。」

「よくない。寒いじゃない。」

ってお母さんが私を抱きしめてくれた。

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