無限のつばさ
自然の中で生まれた生物は絶滅したが、今起きていることは自然が引き起こす現象である。生きている。自然は形などあるはずのない心臓を躍動させているようだった。
ただ、一応、砂丘で身を潜めながら伏せている彼だが、砂嵐は容赦なかった。
砂が彼の目蓋を叩きつける。全身が砂に包まれるのは時間の問題だ。
飛ばされる心配はないと本能のまま感じた場所で…
判断・思考能力共に彼の知能は所詮犬である。いや、過去、万物の霊長と言われた人類もたった一人ではこの自然の猛威の前に為す術もないだろう。
彼に死が迫る…
じりじりと…
今、彼の脳裏にあるのは恐怖なのか?
そして、辺り一帯は砂嵐に包まれた。消息は不明だ…。
暗転がおとずれる。