開かない窓
「失礼します・・・・・」

開けた途端、汗と埃の匂いが鼻腔をつく。蓮に連れられて入ったことは何度もあるが、やはりこの空間は全然変わってない。
ごちゃごちゃしすぎて、誰が誰のか全く解らないランニングシューズ、どこからか引っ張ってきたらしきベンチには無造作に異臭の放つジャージが置いてある。

(くっさ・・・・誰だよこのジャージ・・・・)

俺はあまりの臭さに、そのジャージの持ち主の名前を見た。そこには・・・・。

【相田】

・・・・・・・俺は何も見なかったことにして、近くのゴミ箱にその誰のか判らないジャージを放り込んでおいた。

ゴミ箱のすぐ手前に大きなホワイトボードがあった。
そこには今日の練習課題らしきものが細かく書かれている。

【本日の課題・・・・・グラウンド20周。本日の遅刻者・・・・・月岡。ペナルティとして月岡のみグラウンド30周および部室内の清掃】

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