開かない窓
すると、しばらくしてその声を聞きつけたのか、校舎から背広姿の男性が出てきた。

その男性はかなりの長身でひょろっとしている。
見た目で人を判断するのは良くないが、今流行りの草食系ってやつで、確実に頼りない感じがする。
しかし、人は見た目によらないというから、こう見えて意外にデキる人なのかもしれない。

「何かあったのかな？」

すると高圧的な警官はいっそう背筋を正してその男性に敬礼しながら、
「は！！今そこの子供が現場に入ろうとしたのを止めていた所です！」

「子供にそんな大声を出さなくてもいいだろ。もう少し優しく言ってやればいいじゃないか？」
「申し訳ありません！！佐伯刑事！」
警官は顔を引きつらせ、若い男性に謝罪していた。

どうやら意外にデキる男だった。

なるほど、この男は刑事なのか。俺は刑事をテレビでしか見たことが無かったので、ついしげしげと観察してしまった。
< 11 / 191 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop