開かない窓
「お前らはいいぜ?死体を見てないんだから!!実際に見た俺の事なんか誰も考えやしねぇ!作り物のドラマなんかとは次元が違うんだよ・・・・!!」

どうしようもない怒りと悲しみが交じり合った悲痛な叫び声が、暗い夜道に響き渡る。

「月岡さん!!」

「しつこいん・・・・・・っておい!」

俺はその場で土下座した。他にも方法があったのかも知れないが、今の俺にはこれしか思いつかなかった。きっと俺の前にも事件について無神経に聞いてきた生徒らがいるのだろう・・・・面白半分で。
その度に、この人は忌まわしい出来事を思い出させられたんだ。

そして俺自身も、実際に死体を見た彼の辛さや苦しみを全く考えずに聞いていた。
奴らと同類と思われるのは当然のことだろうと思う。
それでも引き下がるわけにはいかなかった。ここで諦めたらあの時の決意が、行動が、全て無駄になる・・・・・!

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