開かない窓
俺は必死に月岡さんへ懇願した。

「お願いです、教えて下さい!ないんです!先輩しか手がかりがないんですっ!」

「・・・・・・・・・・・・・・。」
月岡さんはしばらく無言だったが、やがてタバコの煙をゆっくり吐き出しながら言った。

「お前、彼の何?」

俺は、まっすぐ先輩の目を捉えてはっきりと言い切った。


「親友でした。」


俺の言葉を聞き、彼は何かを考えているようだった。そして諦めたかのように深い溜め息をつき、軽く頭をかきながら言った。
「あ~もぅ・・・・・・解ったよ。俺が見た事話してやるから。」

「ホントですか!?」

「まあな・・・・それ以上騒がれると面倒なんだよ。」

そう言うと先輩は自分の鞄を漁り、俺にタオルを寄越してきた。
大分使い込まれている感じがするが、不思議と全く不潔な印象を受けない。


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