開かない窓

H ・Y

「じゃあ、発見した時の様子を話して貰えますか?」

俺は少しの罪悪感を抱えながら少し躊躇いがちに尋ねた。
対して月岡さんは、少なくとも表面上は気に留めるに値しないといった様子で淡々としていた。

「俺が、朝のロードワークをしてた時にな。その日は足元もぬかるんでたし、少し天気も悪かったからいつもより少し早めに終わらせようとしたんだ。少し走った後、早めに学校に戻ってきたら旧校舎の近くで微かに何か鳴ってるような音が聞こえたんだ。何だろうと思って行って見たら、誰かが倒れているのを見つけた。びっくりしてそいつに駆け寄ったら・・・・」

彼はその光景を思い出したのだろう、先ほどの涼しげな顔が鳴りを潜め、うっすらと苦悶の表情を浮かべている。

「・・・鳴ってる音は何か解ったんですか?」

「多分、携帯のアラームじゃないか?」

「携帯のアラーム?」

「その子が飛び降りた窓のすぐ傍に、揃えた上靴と一緒に携帯が置かれていたんだって。結構な大音量だったから、下まで聞こえたんじゃないかって警察は言ってた」
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