開かない窓
(アラーム・・・・・・これから自殺しようとするヤツがそんなのセットしないよな。やっぱり・・・事故かあるいは・・・)

ハッとなり考えを打ち消すかのように、慌てて頭を振る。
すぐにいやな方向に考えてしまう、俺の悪い癖が再発しそうになり、今はなるべく考えないようにした。

「あの・・・・・すぐに死んでるって解ったんですか?」

「仰向けだったんだ・・・・表情がイヤってほど見えたんだよ。で、見てるのが耐えられなくなって思わず目逸らした時に、その子のすぐ傍にイニシャルが入ったハンカチが落ちてたんだ」

「イニシャル?」

「そう。確か【H・Y】だったな・・・・あれ多分女物だと思うけど」

「女物ですか?」

「ああ、淡いピンク色に花か何かが刺繍してあった。血に染まっててよく解らなかったけどさ。偏見かも知れないがちょっと男が持つにはイタそうな感じだった」

「【H・Y】・・・・女物・・・・・ひょっとして犯人が落としていった?」
俺の呟きに、彼は怪訝そうな表情を浮かべた。
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