開かない窓
そんな思いをよそに、神条さんは俺をひどく冷めた目で一瞥して心から興味がなさそうに言った。

「・・・・・・どうでもいい。それより話が終わったんならコイツ借りるぞ」

「理悸・・・・またあの話か?」
月岡さんがウンザリといった表情を浮かべた。語尾には少なからず怒気が含まれている。

「ああ、今日こそはっきりさせたいからな」

「断る。・・・・もう何度も話し合ったじゃないか」
瞬時にして月岡さんは拒絶を示した。神条さんは、それに全く動じず淡々とした口調でそれに応える。

「ああ、話し合ったな。本音隠したまま」

「・・・・・・何が言いたい」

「口にしなきゃわからないのか?・・・・・・随分低脳だな」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

心底馬鹿にしきったように神条さんは呟き、暗い沈黙が降りた。
普段でさえ威圧感のある神条さんが、鋭い目つきで月岡さんを睨みつけている。月岡さんも無言でそれに応じている。
一秒が永遠にも感じられるかと思われた、その時。ふいに月岡さんが沈黙を破った。
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