開かない窓
「解ったよ・・・・ただ、今日はこれから先約があるんだ。明日にしてくれないか?」

先約・・・・・??俺は時計に目を落とした。すでに21時を回っている。こんな遅くに誰に会いに行くというのだろう。まさか・・・・・・・・。

俺はいけない想像をしてしまった。これ以上想像していると鼻血が出そうだ・・・強制的に思考を中断させる。

「先約・・・・・?女か?」

直球だ。俺が想像していたのに非常に近しいモノがある。このストレートさは頼と良い勝負かもしれない。この漢、あなどれない・・・・・・!!

神条さんの問いに、月岡さんは意味ありげな笑みを浮かべ、からかうように言った。

「女?・・・・・・・・まあ、ご想像にお任せ。愛の共同作業を行ったりもしますので・・・・・・どう?一緒に来る?」

「ちっ・・・・・・・・。」

「あれ、どこ行くの?」
その場を去ろうと背を向けた彼を、不思議そうに月岡さんが呼び止めた。
その呼びかけに、彼は立ち止まると肩越しにゆっくりと振り返った。

「帰る。明日、逃げんなよ」
吐き捨てるように言うと、彼は足早に立ち去って行った。

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