開かない窓
相変わらず乱雑している自室に入り、ベットの上に投げっぱなしにしていた鞄から泥の付いたタオルを取り出して眺めていると、自然に溜め息が口をついた。

(流石に今日返すのは無理だ。会ったら謝っておこう。)

仕方が無いので鞄だけを手にし、再びリビングへと戻る事にした。

廊下に出たとき、どこからか微かに着信音が聞こえた。

(まさか。)

俺はちょっと嫌な予感がしたので、リビングへと直行し、テーブルを確認した。
そこには、まだライトが点灯し、鳴り響く携帯電話。

(切れてねぇ・・・・・・!)

俺のちょっと嫌な予感が見事的中したせいで軽く頭痛がしたが、このままにしておく訳にもいかないので仕方なく手を伸ばし、未だ鳴り続ける携帯を開いた。
画面のディスプレイには

『浜本 頼』

まだ、完全に開ききってない眼を擦る。

(・・・・・しつこい筈だ。)

どうせ、絶対部活来い、逃げるなとか言ってくるのだろう。学校で言われるだけでも精神的に疲れるのに、とうとう家まで・・・・・・・。

この時、俺の脳裏では1つの結論が導き出されていた。
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