開かない窓
事件の概要はこうだ。


今日の早朝、月岡涼夜が遺体で発見された。


第一発見者は、同じ陸上部の部員。朝練で学校へ来てすぐ、不自然な格好で横たわっていた彼を見つけたらしい。

場所は…問題の旧校舎付近の芝生。


ここまではそう、晃と同じだ。ただ、誰の目からみても大きく違うことがある。


彼は……明らかに他殺だという事。


刃物で激しく頚動脈を切り裂かれ、全身を自らの赤で染め上げた彼が横たわっていたそうだ。

頼の情報に耳を傾けつつ、俺は疑問を感じた。

「お前随分詳しいな?」

「第一発見者の子が興奮して言いふらしてたわ」

「興奮して、ねぇ」

(…月岡さんとは大違いだ)

とは言うものの、話だけ聞くと正直あまり現実味がなかった。フィクション満載の推理小説の内容を聞かされた感は否めない。
それは、ちはやも頼も同じ気持ちだったようで俺達はとりあえず現場である、旧校舎へと向かってみることにした。
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