開かない窓
「嘘じゃないですー。本当に悲しかったですよ?だって、その人が自殺したせいで、藤村先輩がすごく落ち込んでしまったんですからぁ~先輩が悲しんでると、ボクも悲しいですー」

「ようするに、悠里が悲しんでるから自分も悲しいってだけで、死んだ子の事はどうでもいいって事でしょ?」

「ん~どうでもよくはないですねぇ~一応大好きな藤村先輩の彼氏ですし・・・」

(なんだ、この棒読みは・・・・・・すげー疲れる。こいつの話を聞いているだけでひたすら疲れる・・・さっさと会話を終わらせよう。)

「よく解ったよ・・・お前は悲しんでくれてたんだな、ありがと。」

俺の感情も込めない投げやりな態度と口調に、綾人は何かを考えていた様子を見せた。

「む~・・・じゃあ、先輩はボクの母が最近何かの事故で死んだと仮定して、それを本気で悲しいと思ってくれますかぁ?」

「え・・・・・・。」

俺は突然の質問に言葉を詰まらせた。あまり関わり合いのない後輩の親が亡くなった。
それは、一応悲しいと思う。

でも・・・・・・本気で悲しむ事が出来るだろうか?少なくとも俺はこれを聞いた今、心の底から悲しんでやれただろうか?
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