開かない窓
答えは否だ。

本気で悲しいなら、そもそもこんな事を考えたりしないから。
何も言えず黙り込んでいる俺を見て、なぜか楽しそうに笑う綾人。

「ほら~。思わないでしょ?他人の大切な人が死んでも正直自分には関係ない。そう思っているんでしょ?」

「そうは言ってないだろ!」
いちいち神経を逆撫でする彼の発言に、つい語尾が荒くなる。明らかに挑発だと解りきっているのに、冷静さを欠いて乗ってしまった自分に激しく自己嫌悪。

瞬時に悪くなってしまった場をなんとか取り持とうと、ちはやが声をかける。

「ま、まあ・・・・・・優一も綾人君もそこまで。綾人君もさ、例えでも親が死んだとか、そ
うゆう冗談はやっぱりよくないよ?」

ちはやの発言に、綾人は少し驚いた様子だった。

「え?冗談じゃないですよ~?だって・・・・・・」


「だって、あの時母を事故死に見せかけたのボクですから。」


この瞬間、場が凍りついた。

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