開かない窓
完全に綾人の姿が見えなくなると全身の力が一気に抜け、額にかなりの冷や汗をかいていたことに気付かされる。俺は、後輩相手にこんなにも神経を削っていたのか。

「言うだけ言って、なんなのかしら??全く人の話を聞かない子ね!」

彼の後姿を見送りつつ、ワザと綾人に聞こえるくらいの声量で頼が言った。

(・・・・・・お前がそれを言うか。)

俺は、激しく疑問を感じたが敢えて口には出さなかった。

「頼、駄目だよ?そんな事言っちゃ。でも・・・優一、これからどうするの?」

ちはやに聞かれた時、俺は嫌な予感を感じていた。不安とゆうべきだろうか?

すぐに「会いに行く」とゆう答えを出せなかったんだ。いつもなら「あ、行く行く。」と笑って答えれるはずなのに。上手く表現できないけど今アイツに会いに行くのはちょっと・・・・・・。でも、様子が気になる。あんなに尊敬していた月岡さんが亡き今、蓮はきっと苦しんでるはずだから。俺に出来ることなんてないかもしれないけど、それでも・・・・・・。

「一応、部室に寄ってみるよ。」

結局心に残る不安感を拭い去ることができないまま、蓮に会いに行くとゆう選択を選んでしまった。

『相田先輩の中では部長さん生きてますから。』

頭の中でその言葉だけが、なぜかリフレインするのであった。
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