開かない窓
「カード・・・・・・多分ダメですね。現金で払えばいいんじゃないですか?」

「じゃあ、駄目だ。俺は現金など持ち合わせてない。」

俺は、彼のあまりに庶民離れした発言に驚きを隠せなかった。

「お金持ってないんですか?」

「日頃の買い物など手伝いに任せている。大体欲しい物がある場合は、カードで十分事足りるだろう?そうゆうお前こそカードは持ち歩かないのか?」

「カード・・・・・・あ~ポイントカードとかですかね?」
多分、そうゆう意味のカードじゃないんだろうな~と思ったがポイントカードも恥じる事はない、立派なカードだ!!なので一応言ってみた。

「ポイント??・・・・・・いや、その辺りもよく解らない。まあ俺は、その店には入れないという事だな」

「いや、なくても入れますけど・・・・・・じゃあ俺、奢りますよ」

「・・・お前、本気で言ってるのか?」
神条さんはかすかに眉を上げ、おもしろいヤツだ。とでも言いたげな表情を作った。

「は、はい?」

「俺に奢ってやるなんて言った奴なんて、他に涼夜くらいなものだ。」

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